スーパーカブの事をもっと知りたくて、「スーパーカブの軌跡」三樹書房編 を読んでみました。
スーパーカブの軌跡―世界を駆けるロングセラー 1952ー2018
自分が今まで読んだ、スーパーカブに関しての書籍(小説や雑誌以外)は、
ホンダスーパーカブ―世界戦略車の誕生と展開 三樹書房編
スーパーカブは、なぜ売れる (単行本) 中部博著
この2冊です。
「ホンダスーパーカブ 世界戦略車の誕生と展開」はカブの60年間の図鑑のような要素と、開発時を中心とした担当者の生の声や、当時の開発資料や解説などが詳しく書かれている本です。
「スーパーカブはなぜ売れる」はスーパーカブがどう世界へ挑み、展開して行ったかを徹底した取材をもとに国別に詳しくかかれている本でした。
さて、今回の「スーパーカブの軌跡」はどういう本かというと、一言でいうと「スーパーカブのカタログの本」です。
ハードカバー、全173ページ、大型豪華本です。
序盤の31ページが「スーパーカブシリーズの歴史」として文章で解説されています。この章の中の囲み1ページで初代カブの国内広告戦略として「東京グラフィックデザイナーズ」や「蕎麦屋さんの広告」などのコンセプトが書かれていて、特に興味深かったです。又、110以降の新しいカブについてもしっかりページをさいているのも特徴の一つです。
次の中心の章「スーパーカブの歩み カタログでたどるモデル変換 1952-2018」の33ページから168ページまではタイトルのとおり、フルカラーによるカタログを中心とした車種の変遷が展開されていきます。
基本的には、大きく当時のカタログをビジュアルで見せて、ホワイトスペースに小さい文字でキャプション的に解説が入っていくスタイルを取ってます。
車種の変遷は時代の流れです。広告の表現方法やそこに登場する人物が時代、時代で変わっていくのを観るのは楽しいです。たとえば、初期の「白いタンクに赤いエンジン」のジは「チに〃」で表記されていて、写真が少なくて、イラスト中心の広告だったりします。それが段々と新聞広告で写真が増えてきて、白黒からカラーの多色刷りへと移っていきます。
また、初期のスーパーカブは意外にも女性をターゲットにした広告も多く出ているんですね。もちろん、働くバイクのきっかけとなった、あの有名な「お蕎麦屋さん」の広告もあります。この後に続くシリーズを観るのも面白いです。どれも柔軟な発想と微妙な配色、斬新なアングルに満ちてます。「六月の花嫁」いいなぁ
派生モデルの展開でのハンターカブやスポーツカブ、今では小説やマンガの世界だけですが、ポートカブの広告では女学生が制服でカブに乗ってます。しかもノーヘルで(笑)
アメリカで爆発的ヒットした「ナイセスト・ピープル・キャンペーン」日本でもこのデザイン使われていたんですね。
CT110のカタログのキャッチコピー、最高です!、そうそう、その感覚って、ページをめくる度、様々な発見があります。
スーパーカブはドンドン細分化されて、広告もカタログと合わせて多様化していきます。用途別、排気量、オプションパーツ。時代の流れに合わせて、高度成長期にはバリバリの仕事仕様、その後は燃費重視のキャッチコピー、豪華装備から質実剛健、クリーンと変わっていきます。面白いのはその流れに反した広告(車種)も一部あるのですが、やはりそれらは短命に終わっているんですね。俯瞰でみると見えてきます。(ただ、そんな車種が後になって、妙に愛おしかったりするのですが)
本質は変わらないけど、時代の要請に対しては適格に対応し続けたモノだからこそ、昭和から平成そして次の時代へも活躍できる事ができるのかなと思いました。
60年というロングセラーの広告はそのまま時代の流れを見る事のできる貴重な資料なんですね。
勉強になりました(笑)
スーパーカブの軌跡―世界を駆けるロングセラー 1952ー2018
カブの本のまとめ記事: