多くの研究船や潜水調査船、無人探査機などの調査機器を使って海や地球の研究をしている海洋研究開発機構(JAMSTEC)
そこの横須賀本部で、月に1回ぐらい(5月と8月除く)で行われている無料の個人見学ツアーに参加してきました。
参加申し込みはネットで、開催日程に合わせて申し込みます。基本平日のみです。
定員になり次第締め切りで、すぐいっぱいになってしまうみたいです。
申し込みの受け付けが完了した時と、当日のスケジュールが確定した時(約1週間前)にメールで連絡がきました。
駐車場は利用できないとの事だったので、電車とバスを乗り継いで行ってきました。
まずは品川から京浜急行本線の「追浜駅」へ
駅前の通りを真っ直ぐ行った所の路線バス4番のりば「海洋研究開発機構」経由「住友重機械」行。
14:10に乗ります。このバスは1時間に一本しか出ていませんので乗り遅れたらタクシーを使うしかないです。
10~15分程で到着(海洋研究開発機構 下車)すると、バス停にはスタッフの方が待っていてくれました。
案内に従ってすぐ横の大きな敷地内へ、
そして、建物へと進みます。
14:30スタート、まずは本館のこの部屋で、15分程で3人の女性スタッフの方々のご挨拶や概要説明がありました。
今回参加されていた人は全部で30名弱、若いカップルや親子連れ、年配の方から男性・女性のお一人様など実に様々です。
説明の後、最初に向かったのは
「潜水調査船整備場付属棟」
ここでは本物の潜水船を観る事ができます。
有人潜水調査船「しんかい6500」
その名の通り、人を乗せて、深度6500mまで潜る事が出来る潜水調査船で、日本近海のみならず、世界の海で、海底の地形や地質、深海生物などの調査に活躍している船です。
特徴的なのが前方に両手の様にある、マニピュレータと呼ばれるロボットハンドル。生物や海底の岩石の採取に使われ、7つの関節で動き、水中では約100㎏の物を持ち上げる事が出来るそうです。
強力な投光器、ハイビジョンカメラ、デジタルカメラ、深海の高い水圧に耐えられる覗き窓。
推進力は筒の中のプロペラ、水平スラスタ、垂直スラスタ、メインスラスタとそれぞれ2基、合計6基で動力源はリチウムイオン電池です。
気になるのは、どうやって浮き沈みするかですが、
超極小のガラス球をエポキシ樹脂で固めた、深海の高圧環境にも耐えうる、この浮力材がぎっしり組み込まれていて、基本的には浮く設計になっているそうです。
そして、潜る時には、バラストという鉄の「おもり」をつけて潜っていきます。
深海巡航探査機「うらしま」
機体内蔵のコンピュータの設定に従って自力航行し、超解像度の海底地形や海底下構造のデータを取得できるそうです。
また、海中では電波が届かずGPSが使えないので、運動を計測しながら移動量を求める慣性航法と速度検出器のデータ、母船からの音響測位によって位置を求める音響航法を組み合わせて航行しているそうです。
こちらは、海底探査の国際コンベンションにおいて、ギリシャで行われた実海域競技の決勝戦を終えて帰ってきていた、無人探査ロボットのAUV-NEXT。
事前にもらったスケジュールには書かれてなかったので、タイミングよく観れたみたいで、ラッキーでした。
次に向かったのは、「海洋科学技術館」
ここには「しんかい6500」の実物大の模型やJAMSTECが所有している船の模型、深海海洋生物の標本などが展示されています。
現物の「しんかい6500」の中に入る事は出来きませんが、ココならOKです。
本物は上から入りますが、こちらはサイドから。内径2mの「耐圧殻」の球体の中には、椅子はなく、クッションのようなモノが惹かれているのみ。上部は計器でビッシリ。この空間の中で乗務員3名(パイロット1名・研究者2名)で8時間過ごすのは、かなり厳しそう(汗)
以前は採取用のマニピュレーターを操作できたみたいですが、今はなくなってました。
深海生物の標本展示コーナー
この見学ツアーは基本的には撮影OKなのですが、こちらのコーナーの一部のみ撮影不可でした。
煙突状の形をした海底の熱水噴出孔のチムニーを触る事もできます。でも、未知の世界の深海のモノなので、触った後は必ず手を洗って下さいというのは、ちょっとコワイ気がします(笑)
模型コーナーには、深海潜水調査船支援母船「よこすか」の1/50のモデルがありました。
この船は「しんかい6500」の支援母船で、「しんかい6500」の整備も出来る格納庫を持ち、後部甲板には「しんかい6500」用の着水揚収装置を持ち、さらに、海底で調査している「しんかい6500」する為の音波を使った水中通話機を備えています。
まるで、国際救助隊のサンダーバード4号と2号との関係みたいです(笑)
最後に行ったのは「高圧実験水槽棟」です。
ここでは、まず入って右側の部屋で、ブタメンの容器を使った実験を見ました。
容器に深水1000mの圧力をかけていきます。
すると、こんなに小さく(手前)なってしまいます。奥の容器が圧縮前の大きさのモノです。
金属バット水深500mだとこんな感じ。バットというよりオールですね(笑)
水深による圧力がいかに凄いかが、わかったところで、左の部屋へ。
こちらは、水深約14000mに相当する圧力まで再現できる高圧実験水槽設備です。
「しんかい6500」の実際の耐圧殻の内径は2mですが、その約1/3のサイズに忠実に再現されたモデルで6500mの深海圧力の加圧実験を1500回繰り返し行って、異常のない事を確認したそうです。
その後に破壊するまで圧力を加える実験を行って、この状態に。
いったい、どのくらいの深さの圧力だと思いますか? 13200mだそうです。
ちなみに地球上で一番深い海は、マリアナ海チャレンジャー海淵の水深約11000メートルだそうです。
まさに、深海は水圧との闘いなんですね。
再び、本館に戻ってきて、スタッフの方のご挨拶の後、16:00に見学終了。
おみやげコーナーをチラッとみて、
建物を出るときに「また来てくださいね!」と優しく声をかけて頂き、
夕暮れ間近の海が見える敷地を出て、
16時13分の「追浜駅」行のバスに、
「深い知的好奇心の充実感」と共に乗り込み、
帰路につきました。